猫と私の一年

私には息子がいる。

 

そう言うとあらぬ誤解を招くのだが、正しくは、猫の息子がいる。

なんだ猫かー、と思われるだろうが、私にとっては大事な息子なのだ。

子どもを産んだことがないので分からないが、たぶん自分の子と同じくらい大事な存在だと思う。

 

その子が我が家に来たとき、手足は長いがガリガリに痩せていて、はっきりとした年齢は不明だった。しばらくして乳歯が抜けたので、生後半年に満たないくらいだったのだろう。

 

駐車場に捨てられ餓死寸前だった彼は、その後すくすくと育っていった。

とにかく元気いっぱいで食いしん坊でよく鳴くので、本当の赤ん坊みたいに手がかかったものだ。

それでも彼は人間が大好きで愛嬌たっぷりだったので、すぐに我が家のアイドルになった。

 

そんな私の息子が我が家に来て、半年ほど経った頃。

急に具合が悪くなり、何も食べられなくなってしまった。

急いで動物病院に連れていくと、何か悪いものを食べたのでは、と言われた。

耳や目が黄色くなり、明らかに黄疸の症状が出ていた。肝臓から危険信号が出ていたのだ。

 

息子は一時生死の境を彷徨ったが、一週間入院したあと、元気を取り戻した。

 

 

私は息子が死ぬかもしれないと思った時、私の寿命を全部あげてもいいから生きてほしい、と必死の思いで祈った。

誰かを愛するということは、きっとそうゆうことなんだろうと思う。

 

今息子はすっかり大人になり、パートナーを求めて自立の旅に出ている。

さびしくないと言えば嘘になるが、私には息子と過ごした一年の思い出があるからそれで充分なのだ。

 

次に会う時は、奥さんと子どもをわらわら連れてきてくれたら嬉しいな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラオケで歌う曲って・・

たまに友人とカラオケに行く。

 

そこで私は特に友人に気を遣うことをせず歌いたい曲を歌うのだが、どうもその選曲がオカシイらしい。

 

私のカラオケの十八番と言えば、なんと言ってもQUEENの「I was born to love you」である。

これはもう何が何でも一番最初に歌わなければならない。

 

普段元気を出したいときによく聴く曲だし、とても有名なので誰でも知っているだろう。

友人も私の歌を聴いてかっこいいと褒めてくれる。

 

そこで調子に乗る私は、続けてQUEENの「Don't stop me now」や、Bon Joviの「You give love a bad name」などのロックを歌う。

 

また友人はやんややんやと盛り上がってくれる。

 

ちょっと疲れた私はここで殿様キングスの「なみだの操」を歌う。

友人はこの曲自体は知らないが、私の歌い方に笑い転げる。

よく、ちびまる子ちゃんでまる子が歌っているのだ。イメージは宮路オサムの真似をするまる子。

 

アニメ繋がりで、今度はクレヨンしんちゃんの「おらはにんきもの」で完璧なしんのすけのものまねを披露する。

これは友人も世代なので大いにウケる。

 

そして最後はしっとりと松田聖子の「Sweet Memories」でシメるのだ。

まあ友人は知らない曲だが、いい曲だねえと聴き惚れてくれる。

 

 

その他にも今流行りのTaylor SwiftやAriana Grande、欅坂48や星野源なども歌うし、アナと雪の女王などのディズニーソングも歌うし、長崎は今日も雨だったとか時代とか、山口百恵キャンディーズも大好きでよく歌う。

 

 

さて、ここまで来て私が一体何歳なんだと疑問を抱かれた方は文中にヒントがあるので当ててみてほしい。

 

何歳だろうが、カラオケは好きな歌を歌うのが一番だ。

 

 

 

 

 

学生時代のバレンタインの話。

現在の私はバレンタインから遠ざかった生活をしている。

会社勤めをしていないので好きでもない男性社員たちに義理チョコを配るような真似をしなくていいし、友チョコを交換するような間柄の女友達すらいない。

 

そんな私でもバレンタインが忙しい時代はあった。それはやっぱり学生時代になる。

毎日勉強や部活で忙しい学生たちにとって、バレンタインは非日常を味わうことのできる一大イベントなのだ。この日ばかりは規則に厳しい学校側も目をつぶってくれる。

 

私がチョコを渡した相手は、小学校の同級生と中学校の同級生、それから中学校の部活の顧問の先生。

全員にちゃんと渡せたし、ホワイトデーにはお返しを貰うことができた。

もちろん先生への想いは叶わぬ恋で、見返りなど求めていない。

その後先生は同僚の音楽の先生と結婚してしまった。なんとも切ない思い出である。

 

また、高校の時には逆に男子からチョコを貰ったことがある。

その人はお菓子作りが得意で、家庭科室のオーブンでフォンダンショコラを焼いてくれたのだ。中からとろっとチョコが溢れてとっても美味しかったのを覚えている。

今思えば、その人は私のことが好きだったのかもしれない。何も言わなかったけれど。

 

なーんてことを妄想しながらにやついてしまうほど、私の現在の恋愛状況は枯れきっている。

あのフォンダンショコラ、もう一度食べたいなあ。